母子同室と母乳育児
当院では出産の約2時間分娩室で赤ちゃんと一緒に過ごした後にそのままお母さんと赤ちゃんを離さずに母子同室を行っています。
お母さんのお腹の中で10ヶ月間抱かれて育った赤ちゃんはお母さんとずっと一緒にいたいものです。従来、お産の疲れをいやすためにお母さんと赤ちゃんを離して赤ちゃんを新生児室で預かってきましたが、この方法はお母さんにも赤ちゃんにも不都合なのだとわかってきました。母と子の基本的信頼は生後一年間の母と子の関係によって作られ、この期間は人が人らしく成長する基本となる時期であり、甘えの受け入れが大切です。子どもの甘えや訴えを受け入れられるようになるためには、生後早期からの接触を頻回にすることが大切です。
温かく、静かに守られていた子宮の中から生まれ出たばかりの赤ちゃんは、しばらくは環境の強い変化にショックをうけます。そして興奮し目ざめた状態にありますが、その後は深い眠りにつきます。この深い眠りの前にお母さんと接触することで、絆作りのスタートをきりやすくなります。もしこの出生後早期に接触できなければ、なるべく早い時期に赤ちゃんに触れられるようにお手伝いします。
赤ちゃんは泣くことで絆作りを始めますが、応えてもらえないと自分を受け入れてもらえないというマイナスのメッセージを生まれた早いうちに受け取ることになってしまいかねません。また、赤ちゃんが求めているのはお母さんです。一緒に肌を触れあって横になるだけでも赤ちゃんは満たされます。肌への刺激は情緒の発達を助けることになります。なるべくたくさん赤ちゃんを抱いて、しっかり赤ちゃんとの絆作りをしていきましょう。絆作りは早ければ早いほどやりやすいです。最初でうまく行かなくても、どの時点でもやり直すことができます。でも、後になればなるほどたくさんの努力が必要になってきます。子どもの甘えをたくさん受け入れてあげることで、結果的に子どもは自立していくことができます。 母と子の絆作りに重要な役割をはたすのが、おっぱいです。
おっぱいはうまれて2,3日間、遅ければ1週間はほんの少しにじむ程度もしくはまったく出ない場合もあります。でも、おっぱいは吸われれば吸われるほど早くたくさん出るようになるので、たくさんおっぱいが出るまでの間、赤ちゃんはたくさん抱かれてたくさんおっぱいを吸うことになります。この時期に触れあうことで、赤ちゃんは情緒を発達させてお母さんと絆作りをしていきます。おっぱいが出ない人こそ、たくさんおっぱいを吸わせてあげてください。おっぱいは必ず出るようになります。最初の2,3日は赤ちゃんが泣き続けるとおっぱいが足りないと心配になり、辛い思いをすることもあるかもしれませんが、赤ちゃんが泣くのはお腹がすくだけではありません。抱っこしてほしかったり、時には不安を訴えて泣くこともあります。赤ちゃんはお腹の中でお母さんからお弁当と水筒をもらって産まれてきます。お母さんのおっぱいがたくさん出るようになるまで必要なエネルギーをお母さんのお腹の中でもらってから生まれてくるので、おっぱいがでるまでちゃんと待っていられるのです。おっぱいは必ずたくさん出るようになります。おっぱいが出るのがゆっくりであればあるほど、赤ちゃんはたくさんお母さんに抱っこされておっぱいを吸って、情緒豊かな成長をするための土台作りをすることができます。
お産で疲れているかもしれません。身体が辛いときには無理はしないように気をつけなければいけませんが、お母さんは赤ちゃんと一緒に過ごしながらゆっくりと休息できるように、おっぱいを出すホルモンが愛情ホルモン育児ホルモンとしてお母さんを助けてくれます。入院中は家事を気にせずに、赤ちゃんにだけ集中できる期間です。是非この間にしっかりと赤ちゃんと絆作りをしていきましょう。
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母子同室中に気をつけて欲しいこと
1.面会の制限をおねがいします。
赤ちゃんはお母さんのお腹のなかで病原菌に対する抵抗力をつけてきて、またおっぱいの中にも沢山の免疫物質が含まれており病原菌から守られていますが、そ れでもお母さんのかかる風邪などのウィルスには弱いです。赤ちゃんの兄弟以外の12才未満のお子様の面会や沢山の面会人はお断りしていますのでご了承下さ い。産後早期は赤ちゃんは夜も昼もおっぱいを飲み続けます。お母さんは赤ちゃんが眠っているわずかな時間が休息時間です。入院中の面会はなるべくご遠慮下 さいますようご協力をお願いします。
2.母乳育児
当院では母乳育児を推進しています。赤ちゃんには母乳以外のものは生後6ヶ月まで一切必要ないことが分かっています。赤ちゃんが泣くのはお腹がすいたとき だけでなく、色んな要求で泣きます。時には泣きたくて、ストレス発散したくて泣くこともあります。お母さんは赤ちゃんにおっぱいをあげることに集中できる ようにご家族の皆様のサポートをお願いします。
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カンガルーケア
カンガルーケアとは
●カンガルーはお腹の袋の中で赤ちゃんを育てますね。カンガルーケアの抱っこは赤ちゃんとお母さんの肌が直接触れあうように、お母さんの胸の間に赤ちゃんを包み込むようにだっこする事です。その姿がカンガルーを連想させるところから、カンガルーケアと言われています。
●南米で未熟児の保育器が不足したために保育器の変わりに母親の胸の中で赤ちゃんを保温したところ、その体温調節や呼吸刺激の効果が非常に良い事が分かりました。その後に、スウェーデンの研究者によって、誕生直後に新生児に驚くべき能力があることが報告されました。生まれたばかりの赤ちゃんを母親の胸からお腹におくと、しばらくして目を開け、左右をうかがい、ついで首を振り、お腹をけ上がり、おっぱいにたどりついて乳首にむしゃぶりつく、という一連の姿が紹介されました。
この出産時の早期接触(カンガルーケア)は、未熟児だけでなく、健康な赤ちゃんとお母さんにとってとても良い効果があることがわかったのです。
・母子共に問題なければ2時間はそのまま胸の上で過ごします。赤ちゃんの眠りが深くなり、母子共に穏やかになるということで好評です。
・生まれたての赤ちゃんが泣くのは、元気がいいからではなくてお母さんと離されて不安で泣くのだとわかってきました。
カンガルーケアの実際
●赤ちゃんが生まれるとすぐに赤ちゃんの体をふいたり、へその緒をきったりなどの必要な処置をしてからお母さんの胸に赤ちゃんがきます。
●お母さんの胸に抱かれると赤ちゃんは安心したかのように静かになりますが、この時にも赤ちゃんは眠ってしまっているわけではないのでどうぞ話しかけてあげて下さい。聞き覚えのある声を耳にして目をあけることでしょう。このときあまりに部屋が明るすぎると赤ちゃんはまぶしくて目があけられないのでなるべく赤ちゃんに直接光があたらないようにします。
●赤ちゃんにとってお母さんのお腹の中は静かで暖かく苦しさの感じない天国です。出産という大仕事を終えてこの世に来た赤ちゃんにとって、お母さんの胸に抱かれて安心する事で、お腹の中とは違った幸せを実感できる事でしょう。
お部屋でのカンガルーケア
●赤ちゃんがよく泣く時(お部屋で、自宅で)に効果的です。赤ちゃんは包み込まれるようにだっこされるのがとてお大好きです。仰向けでカンガルーしているうちに、赤ちゃんと一緒に眠ってしまわないように気をつけて下さいね。
●お父さんが裸で抱っこしてあげるパパカンガルーもしてあげてください。カンガルーのパパはだっこできないけど、人間のパパは新米パパでもしっかりカンガルーだっこしてあげられます。
★ お部屋の温度は25度くらいにして、エアコンや扇風機の風には注意してください。
カンガルーケアの感想
★ 頑張ったね、とか私たち家族のところへ来てくれありがとう、という子供に対して愛しいなんともいえない幸福感に包まれました。また、命の尊さ、重さを子供 の顔をみながら、強く感じた。上の子の時は、お産に精一杯でとてもこういう気持ちになれなかった。カンガルーケアで母子の絆がいっそう深まるような気がす る。前回と違うものに母子同室もあるが、体力的には少々きついが家に戻ってからの育児がスムースに入れそうな気がする。前回は退院の日に一人で大丈夫かな という不安の気持ちで赤ちゃんがなかなか寝なかったり、おっぱいが吸えなかったりと、抱いたまま朝を迎えたことがあった。マタニティーブルーになった。今 回は2回目ということで心のゆとりがあると思うが、初産婦の場合は頑張りすぎたり不安になってしまうこともあると思うので、心のケアが必要だと思う。 妊娠から出産まで振り返って今回のお産はとても納得できました。
★ 自分の子供でも産んだばかりは小さくて抱いたりするのは不安になったが、分娩直後にぽんと胸にのせられて、その子がすぐにおっぱいを吸っているのを見る と、生命力の強さをすごく感じたし、自分が育てないといけない、育てられる、という気持ちになった。子育てをしていく中でも、分娩の時のことは思い返すこ とがあるので、カンガルーケアができ親子の絆を深める第一歩になっていると思う。
★ 初めてカンガルーケアを経験してたくさんの幸せと感動を頂きました。羊水のまだついたまま生まれたばかりの赤ちゃんの温かいぬくもりと、小さいけれどしっかりとした重み、私の乳首を探し吸う姿は一生わすれられない大切な思い出となりました。
また、スタッフの皆さんがとても優しく親身になって関わってくれるので、とても楽しい入院生活、出産をすることができました。本当にありがとうございました。また赤ちゃんを産みにきますのでよろしくお願いします。
★ うつぶせにしている状態だったので、ちゃんと呼吸しているのか元気な子なのか心配でした。あまりにも静かにしていたので気になりました。でもカンガルーケ アをすることで赤ちゃんが安心して静かなだけだと教えてもらったので、安心しました。赤ちゃんがお腹にいる時よりも、お互いの顔を見合わせながらカンガ ルーケアをしている時のほうが一心同体になれた感じでとても安心できました。
★ 夫と上の子供たちに生まれたばかりの赤ちゃんを見せてあげられたのが良かった。子供たちもとても喜んでいた。カンガルーケアと母子同室を行うことで、退院 後の色々な育児上の不安が解消されるような気がする。生まれたら一緒にいたいという気持ちがあったので、実現できてよかったです。
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帝王切開時のカンガルーケア
予定帝王切開で、母子ともに問題ない場合には手術中にカンガルーケアを行っています。手術中に出来なかった場合でも、お母さんと赤ちゃんの状態が整い次第お部屋で抱っこしてもらい、母子同室を当日から行います。帝王切開出生後のパパカンガルーも希望に応じて行っています。
帝王切開でのカンガルーケアの感想
★ あの感動は一生忘れたくないです。3人目にして初めてカンガルーケアをして、とにかく「感動」の一言です。外に出されて不安で泣いている赤ちゃんを抱っこしたら安心したのか泣き止んでくれて、言葉では言い表せないくらいの感動でした。上の2人の子を出産したときとは明らかに違っています。でも、これをきっかけに3人の子供たちをかわいいとかいとおしいとか思う気持ちが強くなって、今後の子育てにプラスになると思います。先生方スタッフのかたがた、みなさんとても親切で、またこのカンガルーケアのある病院でお産できて本当に良かったです。ありがとうございました。
★ かわいいのといとおしい気持ちでいっぱいでした。前はここまでの感動はなかったです。赤ちゃんに気がいって(感動して)とても怖い手術はそのときは忘れることができました。妊娠中も大変だったし、手術もとても怖かったので、無事に生まれて安心。抱っこしたら赤ちゃんも泣きやんで安心したのに感動しました。とてもかわいかった。第4子は考えていないことと自分の体のことを考えて産まないという決定をしましたが、こんなにもかわいいなら、もっと欲しいという考えが少し出てきました。
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立ち会い出産
産婦さんが希望する人なら誰でもお産に立ち会うことが出来ます。夫、上の子ども達など沢山の家族に囲まれてのお産を歓迎しています。
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帝王切開時の家族の立ち会い
帝王切開分娩の場合でも家族の方の立ち会いが1人から2人まで可能です。
手術室への入室となりますので、入室前に手術室での注意を説明します。カメラなどの持ち込みも出来ます。
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