~心不全患者様の心理的負担軽減に向けた取組み~
社会医療法人仁愛会 浦添総合病院(所在地:沖縄県浦添市、理事長:銘苅晋、以下「浦添総合病院」)と沖縄セルラー電話株式会社(本社:沖縄県那覇市、代表取締役社長:菅隆志、以下「沖縄セルラー」)とセコム琉球株式会社(本社:沖縄県那覇市、代表取締役社長:井口郁、以下「セコム琉球」)は、2022 年 10 月 12 日より日本で初めて(※1)、スマートウォッチfitbit「以下「fitbit」」(※2)を活用したモニタリング中の対象者へ専用事業者から通知連絡を実施する心拍のモニタリング実証事業を開始します。
心不全患者様の多くは、ご自身の異常を感じて受診をされる事が多く、後日の検査では症状を検知できないケースが少なくありません。また、ご自身での病気の自己管理(セルフケア)や薬物療法・リハビリ療法には限界があり、特に退院後あるいは保険でのリハビリ治療後については、症状の悪化・再発に不安を感じている患者様が多くいらっしゃいます。
本事業に参加頂く対象の患者様は、対象期間中に fitbit とスマートフォン上の専用アプリ「JOTO ホームドクター」(※3)を常時装着・携帯することで、心拍数の推移を日常的に継続して確認することができます。また本事業では、セコム琉球が JOTO ホームドクターを通じて心拍数の異常値が出た場合に通知を受取り、患者様本人に電話にて通知します。通知後、患者様は必要に応じて、浦添総合病院にて対面もしくはオンラインにて受診頂けます。
本事業ではアプリと fitbit の連携および異常値が発生した際にセコム琉球からの通知までがシームレスにつながる仕組みを構築し、生体情報のモニタリングを行うことで、早期の治療介入に繋げ、重篤化を予防できるよう取組みを目指して参ります。
尚、対象の患者様がスマートフォンを保有していない場合は、沖縄セルラーが無料でスマートフォンの貸出しを行います。
私たちは医療 DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、沖縄に住まう全ての県民の皆様の安心・安全で心暖まるやさしい生活環境を提供できるよう取組んで参ります。
※1:2022 年 9 月 1 日現在、沖縄セルラー調べ
※2:スマートウォッチ対象機種は Google 社提供の Fitbit Sense(医療機器ではございません)
※3:沖縄セルラー電話株式会社提供の健康アプリ
※本事業は、令和 4 年度 ICT ビジネス高度化支援事業に採択された事業になります。 採択元は ISCO(沖縄 IT イノベーション戦略センター)で、実証期間は 2022 年 10 月 12 日から 2023 年 1 月 11 日までになります。
■本事業のフロー
■循環器内科部長 上原裕規医師のコメント
「心不全」ってご存知ですか?詳しくはご存知ない方が多いのではないでしょうか?わかりやすく表現すると、「心不全とは、心臓が悪いために息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」です。心臓病による死亡は、癌に次ぎ 2 番目に多く、心不全による死亡は心臓病の内訳の中で、最も多くなっています。ちなみに、他の病気との死亡率を比較すると、驚くことに、大腸癌と同程度であり、決して予後が良い病気ではないのです。
心不全患者の 1 年死亡率は 7.3%で 1 年以内の再入院率は 35%とかなり高く、再入院を繰り返すたびに、重症化していくこと、入院が長期間に及ぶため、病床を逼迫させることから、改善すべき喫緊の問題となっています。心不全患者数は、年に1万人ずつ増加しており、2020 年には 120 万人に達していると予測されていて、いまや心不全パンデミック(広範囲におよぶ流行病)の時代に突入していると言えます。
心不全の原因としては、心筋梗塞や心筋症、弁膜症、不整脈などがあり、それぞれの疾患に対する侵襲的治療も行いますが、薬物治療の進歩により、予後が改善されつつありますが、患者さん自身が病気の状態を把握することで重症化予防に繋がる「セルフケア」も注目されており、その取り組みの一環として、早期発見のための心不全手帳の配布や、最近では、自宅で血圧や酸素モニターを測定するだけで、自動的にネットワーク経由で病院へデータが即時に転送されるシステムも開発されています。
本事業は、脈拍などの生態情報をリアルタイムに把握することができるスマートウォッチ(Fitbit)を使用したネットワークサービスを活用することで、治療介入がより早く行えるメリットがあると思われます。近い将来、心不全は ICT を駆使しながら、地域社会全体で診ていく時代になるかもしれません。
■JOTOホームドクターアプリについて
2019 年 5 月にリリースした沖縄セルラー提供の健康アプリ。沖縄県民が利用する医療ヘルスケアプラットフォームとして活用し、沖縄県の健康長寿復活を目指している。主な機能としてヘルスケア機能と安心サポート機能があり、医療機関向けサービスについては、「オンライン診療サービス」、「オンライン服薬指導サービス」、「医療費あと払いサービス」がご利用頂けます。
2022年9月30日 報道発表資料