TAVI(タビ)とは
当院では2025年12月より、大動脈弁狭窄症に対するTAVI(タビ)治療をスタートしました。TAVI(タビ)とは、Transcatheter Aortic Valve Implantationの略称で、TAVR(Transcatheter Aortic Valve Replacement)と呼ばれることもあります。
大動脈弁狭窄症では、硬くなって開きにくい弁のために心臓から十分な血液が送り出せず、息切れや胸痛、失神などの症状が現れます。放置すると心不全の進行や命に関わる場合もあります。TAVI治療では、足の付け根などからカテーテルを挿入し、人工弁(生体弁)を狭くなった大動脈弁の内側へ広げて留置します。胸を大きく開いたり心臓を止めたりしないため、 患者さんの身体的負担が大幅に軽減できるのが特徴です。術後の回復が比較的早く、入院期間が短縮できることも期待されます。
心臓弁膜症
心臓には、血液が正しい方向へ流れるように調整する4つの弁があります。これらの弁が加齢や病気などで硬く狭くなったり、うまく閉じなくなると、血液が逆流したり心臓が強い力で働かざるを得なくなり、徐々に負担がかかります。この状態を心臓弁膜症といいます。
主な症状は息切れ、動悸、胸の痛み、疲れやすさ、むくみなどですが、初期はほとんど自覚症状がないことも多く、気づかないうちに進行することがあります。悪化すると心不全や不整脈など、命に関わる状態に至ることもあります。治療は原因や重症度によって異なり、薬による治療、外科手術、カテーテル治療などの中から、患者さんの状態に最も適した方法を選択します。

大動脈弁狭窄症
大動脈弁狭窄症は、心臓弁膜症の一つで、大動脈弁が硬くなり十分に開かなくなることで、心臓から全身へ血液を送り出しにくくなる病気です。進行すると、息切れ、胸の痛み、動悸、失神、むくみなどの症状が現れ、さらに悪化すると心不全や不整脈など命に関わる状態を引き起こすことがあります。軽症の場合は薬による治療で経過をみますが、重症の場合は外科的治療(大動脈弁置換術)やTAVI(経カテーテル的大動脈弁植込み術)などのカテーテル治療が選択されます。

TAVI(タビ)治療の流れ
❶ 事前検査(総合評価)
CT・心エコー・血液検査などを行い、人工弁のサイズや治療の安全性を評価します。また、全身状態を詳しく確
認し、TAVIが適切かどうかを判断します。
❷ 多職種による治療方針の決定
循環器・外科・麻酔科・看護・リハビリなど多職種が協力し、TAVIと外科手術(SAVR)のどちらが適切か総合的
に検討します。
❸ TAVI治療の実施
足の付け根などからカテーテルを挿入し、狭くなった大動脈弁内に人工弁を留置します。胸を開かず、心臓を止
めずに行える治療です。
➍ 治療後の観察とフォローアップ
治療後は回復状況を確認しながらリハビリを行い、退院後も定期的な検査を続けて状態を評価します。
