WATCHMAN FLXを用いた左心耳閉鎖治療

当院では、2023年6月より心房細動の治療として、WATCHMAN FLX™を使用した新しい心原性脳塞栓症予防のカテーテル治療をスタートしました。県内の病院では、当院が初めて導入いたしました。

出血性リスクがあり、長期間の抗凝固薬(血液をサラサラにするお薬)の服用が難しい不整脈の一種である心房細動の患者さんの心臓(左心耳)に機器を用いることで、血栓の遊離を防ぎ、脳梗塞発症リスクを低減します。

☑ WATCHMAN FLX™ 左心耳閉鎖治療とは

WATCHMAN FLX™左心耳閉鎖治療とは、先端にデバイスをつけたカテーテルを静脈に挿入し、心房中隔を穿刺(せんし)して左心房に到達させた後に心臓に達した時にデバイスを膨らませて、左心耳の入口に留置する手技です。

WATCHMAN FLX™ 左心耳閉鎖システム
WATCHMAN FLX™ デバイス

*LAAC:Left Atrial Appendage Closure

WATCHMAN FLX™ 左心耳閉鎖治療(LAAC)システムは、医師がワルファリン服用可能と判断し、かつ代替治療に切り替える妥当な理由がある患者さんを対象とした、ワルファリンからの代替治療です。

WATCHMAN FLX™を心臓の左心耳(LAA)に留置することで永久に閉鎖し、血栓が遊離するのを防ぎます。

非弁膜症心房細動の患者さんでは、心臓に起因する脳卒中を生じさせる血栓の90%以上が左心耳(LAA)から発生していることから、左心耳(LAA)を閉鎖することで脳卒中リスクを減らします。

また、ワルファリン服用を中止できる可能性もあります**。


脳卒中を発生させると言われる心臓由来の血栓の90%が、左耳心(LAA)で形成されます。


WATCHMAN FLX ™は左心耳(LAA)を永久的に閉鎖し、血栓を移動させません。

* WATCHMAN FLX ™左心耳閉鎖システムが使用できるのは非弁膜症性心房細動の患者さんです。

                 すべての心房細動患者さんに使用できるわけではありません。 

**WATCHMAN FLX ™左心耳閉鎖システムを留置した後もワルファリン服用を続けなければならない場合もあります。

☑ WATCHMAN FLX™の良い点はなんですか?

1.身体への負担が少ない

カテーテルによる手術のため傷口は小さく、入院期間も4日ほどです。

※患者さんの症状や体調などにより入院期間が延びる場合があります。

2.抗凝固薬による出血を防ぐ

術後45日で92%、1年で99%の患者さんが抗凝固薬の中止に成功しています。

3.脳梗塞の原因となる血栓形成を予防する

血栓形成の90%は左心耳で起こり、そこを閉鎖することで抗凝固薬の内服なしに脳梗塞を予防します。