粘液性嚢胞腫瘍

 粘液性嚢胞腫瘍Mucinous Cystic Neoplasm (MCN)は、IPMNと同様、粘液が溜まった嚢胞性病変で、中~高年女性の膵尾部に好発します。細胞異型の程度により、(1) 粘液性嚢胞腺腫Mucinous Cystic Adenoma (MCA);(2) 粘液性嚢胞腺癌Mucinous Cystadenocarcinoma (MCC)、 非浸潤性 (non-invasive);(3) MCC、 浸潤性 (invasive)に分類されます。

診断

多くの場合、主膵管との交通は認めず、組織学的(顕微鏡で調べる検査)に卵巣様間質と呼ばれる所見が見られるのが特徴です。内腔に突出する隆起や嚢胞隔壁内の結節性病変は悪性を疑わせる所見です。このような所見がない4cm未満のMCNでは悪性例の報告はありませんが、自然史がよく解明されていないこと、非手術的管理は高額な画像診断に基づく長年にわたる経過観察を要すること、膵尾部に好発するので比較的侵襲の小さい尾側膵切除術で切除可能なこと、などの理由から、積極的に悪性を疑う所見がなくても外科的切除が推奨されています(IPMN/MCN国際ガイドライン2012年版)。

治療

 ほとんどの病変は膵尾部に発生するため、尾側膵切除術が行われます。悪性が疑われる場合はリンパ節郭清を伴った膵体尾部切除術が必要ですが、大きさや明らかな浸潤がないなど所見によっては脾臓を温存する術式や腹腔鏡下尾側膵切除術などの縮小手術も検討されます。