充実性偽乳頭状腫瘍

 充実性偽乳頭状腫瘍Solid-pseudopapillary neoplasm (SPN)は、ほとんどが若年女性(20~40歳)に発生する腫瘍で、低悪性度腫瘍と考えられています。充実部分(細胞が詰まってできている部分)と出血壊死による嚢胞部分が共存した腫瘍であり、組織学的には、 間質が毛細血管性で血管を軸にした偽乳頭構造を示すためこのような名前がついています。

診断

 若年女性に発生して造影CT、 MRI、 EUS(超音波内視鏡検査)で上述のような特徴が見られた場合に疑われます。膵尾部が好発部位ですが、30%程度は頭部にも発生します。他の疾患との鑑別が必要な場合にはEUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診)が行われることもありますが、低悪性度腫瘍ということもあり、手術を行って切除標本で確定診断されることが多いです。

治療

 診断がついたら原則的に手術になります。部位により手術方法は異なり、膵頭部であればPPPDやSSPPD、膵体尾部の場合は尾側膵切除術が行われますが、膵実質や脾臓を温存した術式や腹腔鏡下手術も考慮されます。