(低侵襲手術としての腹腔鏡下肝切除を含めて)
当院は、日本肝胆膵外科学会が認定する肝胆膵外科高度技能専門施設B(肝胆膵高度技能指導医もしくは肝胆膵高度技能専門医が常勤し、高難度肝胆膵外科手術を年間30例以上施行)に認定されております。6名の肝胆膵外科チーム(肝胆膵外科高度技能指導医/専門医3名、消化器外科指導医(専門医)4名、消化器外科専門医1名、日本外科学会外科指導医(専門医)4名、日本外科学会外科専門医2名、消化器病指導医(専門医)2名、肝臓専門医2名、膵臓指導医1名、胆道指導医1名)で肝切除手術を施行しております。
肝臓には、酸素を送る肝動脈、小腸からの栄養を肝臓に運ぶ門脈血が流入し、心拍出量の1/4が肝臓に流れ込みます。また、肝臓を通った血液は肝静脈から心臓近くの下大静脈へ流出します(図1,2)。
肝臓は血管のかたまりのような臓器であり、一般に通常の臓器より出血しやすく手術が難しい臓器です。
肝臓は図のごとく血管の走行により1から8までの番地(亜区域)や区域に分けられます(図2)。
肝臓を切除する場合、小さい単位から順に、部分切除、亜区域切除、区域切除、葉切除(二区域切除)となります。亜区域切除、区域切除、葉切除は手技的に困難となることから高難度肝切除と呼ばれます。
実際の手術では、肝臓の内部の血管走行や番地を肝臓の表面から確認はできませんが、近年これらを精密造影CTから専用ソフト(ZIO station)で3D画像解析し、術前にシミュレーションすることも可能となっており当院でも導入し、安全で確実な手術に役立てております(写真1)。
肝がんができた場合、外科的切除(肝切除)は非常に有効かつ確実な治療法です。肝がんの場所や大きさ、肝臓の予備能力を精査し、予定する肝切除術式に耐えうると判断された場合肝切除の適応となります。一般的に、肝切除の術式選択に下記の基準が用いられることが多いですが、最終的には患者さんの個々の状態に応じて最良な治療法を選択していきます。
2009年から2021年までの年次別の肝切除施行数を下記にお示しします。年によってばらつきがありますが、当院では年間20-30例程度の肝切除を施行しております。また、年によってばらつきがありますが、その約半数で高難度肝切除が行われております。
現在では肝切除術は、手術器具や手技の進歩などもあり安全な手術となっております。しかし、その解剖学的な特徴などからどうしても手術の傷が大きくならざるを得ない(J字切開や逆L字切開など)のが肝切除術のデメリットでした。
当院では、九州厚生局の認可のもと(すべての肝切除術式で認可)、大きな傷を作らず傷を最小限にし、患者さんの術後早期回復を目指すため、腹腔鏡を利用した腹腔鏡下肝切除を積極的に導入しております。
*腹腔鏡下肝切除は、日本での大規模データで、開腹手術に比べ、出血量が少なく、術後合併症が少なく、術後在院期間が短いことが示されております。
以下に腹腔鏡下肝切除の施行数をお示しします。様々な条件で腹腔鏡下肝切除の適応を判断してきますが、最近では約半数の患者さんが腹腔鏡を使用した低侵襲肝切除を受けられています。
当院では、肝臓のご病気に対し、個々の患者さんの全身状態やがんの状態に応じて最良の治療が選択できるように肝臓外科(肝胆膵外科)、肝臓内科チームで連携しながら診療をすすめております。
肝臓に異常が指摘されたときにはお気軽にご相談ください。
お問い合わせ先 : 医療相談・医療連携支援室 がん相談支援室 かけはし tel: 098-879-0630
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